宮崎の食人

【風土=FOOD】シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート総料理長、深水政信

プロフィール
生年月日/昭和36年(1961年)8月10日 熊本県生まれ(52歳)
高校卒業後、料理人を志し上京。一年ののち、神戸のホテル内ミシュラン三ツ星レストランにて修行を積み、その後自身の店を開業しさらに腕を磨く。10年後、活動の拠点を地元九州に移すために宮崎シーガイアへ入社。2011年シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート総料理長に就任。現在に至る。
食は身体を良くするもの
一人の料理人として、日頃意識していることは、
「〝食〟は身体を良くし、そして心を良くするもの」ということです。私の原点とも言える神戸の修行店、当時の三ツ星レストランで学んだ様々なことが、今も強く私に影響を与えています。
「料理とは、ただ空腹を満たすためのものであってはならない。」人間の体はすべて、食したものによって創られているのですから。私達料理人は、おいしい料理を作るのはもちろんですが、料理を提供したお客様が身体を壊されるようなことがあってはいけないと思っています。私にとって料理は仕事ですが、仕事は一生懸命やって当たり前。その先に、何をするのかが重要だと考えています。私は身体が喜び、そして心が喜ぶ料理を提供しなければならないと日々思っています。
宮崎の風土に魅せられ
宮崎に移り住んで、早いもので約20年になります。宮崎は、ほかの地域に比べてもその風土が特徴的ですね。素晴らしい土地です。水・風・太陽が生み出す肥沃(ひよく)な大地が、宮崎の豊富な食材を育てていると感じます。土がおいしくなければ、おいしい食材は作れない。職業柄、いろんな産地の食材に出会いますが、宮崎の野菜は特にその色の濃さ、香りの良さ、味の濃さが格別だと感じています。例えばきゅうり、ピーマン、かぼちゃ、ズッキーニなどは、本当に驚くほどおいしい。さらに、調味料まで甘く濃いという土地柄もありますよね。調味料が違えば、料理も変わります。
私は、この宮崎の良さを、もっと県内外にPRしていければ、と思っています。全国の消費者の皆さんも、以前にもまして安心・安全・おいしさを気にしていますよね。お客様とお話をしていても、「産地はどこですか?」と聞かれることも多く、皆さん食べるものに意識を向けていらっしゃるんだな、と感じています。
さらなる宮崎ブランドのPRを
前回のコラムでも書きましたが、宮崎の食材は本当に素晴らしいです。そのため実際に宮崎の食材を使おうと試みた場合、いくつかの壁が立ちはだかることもあります。一つは、価格が高騰し、他県の食材の方が安く、金額面で折り合いがつかないケースがあるということ。さらに、品数の安定供給が難しいケースがあること。ホテルでは、同じ品質のものをある一定量仕入れなければならないという事情があるので、仕入れ量が安定しない場合などは、対応が難しいことがあるのです。現場に立つ人間としては、おいしい上に安価で安定供給ができると、よりありがたいですね。
認知度で言えば、全国的に見ても地鶏やマンゴーも人気がありますし、宮崎牛の2連覇など、「宮崎の食材=品質が良い」という宮崎ブランドのイメージは着実に根付いてきていると思います。ですが、もっともっと認知して評価してもらうことが必要だと思います。今後も、この流れを活かして、さらなる宮崎ブランドのPRを実現したいですよね。それによって、多少高値であったり数が稀少であったとしても、より県内外に流通していくと予想しています。
in SEASONへの期待
宮崎のおいしさ・旬を届ける食旅メディア インシーズンの取り組みには、とても期待しています。宮崎はすでに「作り上手」ではあるわけですから、さらなる活発なPRを続けて、宮崎の認知度アップを目指して欲しいと思います。
Four Season ,in SEASON
四季折々、一年中、旬を届けてもらいたいですね。
終わりに
料理にとって、おいしい食材は欠かすことはできません。そして、そのおいしい食材を育むのは生産者の想いと、何より風土だと思います。
「風土(ふうど)=(は)Food(フード)」
宮崎の風土が生む、素晴らしい財産が今後ますます認知され、広まっていくことを心から願っています。

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