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高緑和昌・いづみ
(たかみどり かずまさ・いづみ)

宮崎県国富町在住、綾町で営農。鹿児島県出身の和昌さん、宮崎市出身のいづみさん。10年以上前から綾町内で自然農を学び、自然農野菜の発送を始めて7年。2018年春から近隣市町村への配達も開始。

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【電話番号】
080-3045-4023(高緑 和昌さん)

【メールアドレス】
highgreen22@gmail.com

【HP】
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【野菜セットについて】
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夏の体を潤す、完熟大玉トマト

撮影は海の日の数日後、盛夏。集合一時間前、早い時間のほうが良いかもしれない、と電話を頂き、先にトマトのハウスへ。車を降りたところから汗をかきましたが、ハウスでは鈴なりの真っ赤に熟れた大玉トマト、ミニトマトが出迎えてくれました。
その姿にしばしうっとり・・・ぐっと上を向いたヘタにハリのある皮、眩しいほどのつや、ふわふわの産毛。髙緑さんに促していただき、1つ大きなトマトを収穫、その場でがぶり。瞬時にのどが潤され、火照った体に涼を感じました。夏の畑で食べる大玉トマトは格別!最高。

高緑さんは、なぜ自然農を選択されたのか?という私の問いに、「自然農は究極の芸術作品だと思うから」と淀みない回答。芸術の世界から農業の世界へと足を踏み入れたそうです。
通常自然農は露地栽培で行います。ここも屋根以外は開け放たれ、風が吹き抜け虫たちも思いのままに出入りし、数日おきにさっと散水しますが、それ以外の栽培方法は同じです。「お客さんに美味しい野菜を届けたい」。形にこだわらず、信念はぶらさず、挑戦を続ける髙緑さん。トマトの雨避けハウス栽培も挑戦3年目の夏を迎えました。

虫や草を敵とせず、何ものとも分け隔てしない

「自然農」とは「虫や草を敵とせず、農薬や除草剤・動物性肥料を用いず、不必要なものはできる限り持ち出さず、持ち込まぬことを良しとする農法」。自然農に出会う前から、木彫やインスタレーションなどの作品を通して人のあり方や自然との関わり方を発信してきた髙緑さん。
似たような言葉で「自然農法」「自然栽培」があります。自然農含め共通するのは、農薬や動物性肥料あるいは肥料自体を用いない営農の形。その中でも「自然農とは一つ一つの命を尊重する農の形(高緑さん)」。実際には耳触りのよいオーガニック農法を指す言葉として安易に使用されていることも多く、本当にオーガニックを求めるとしたら、信頼できる農家さんから買うことが一番大切です。髙緑さんとお客さんの交流からは、その確かな信頼関係が伺えます。

「楽園のような畑だね!」と来園したお客さんも言うほど、植物や昆虫や微生物、たくさんの生命。潤いをまとったクモの糸は夏日に輝き、絹糸のようでした。かぼちゃの海、ゴーヤのカーテン、キクイモの森・・・この畑という世界をつなぐように糸を織るクモ。「野菜を食べる虫を捕まえる、畑の守衛さん」。畑のクモたちの営みを温かく見つめます。

自然農が教えてくれる、自然への配慮や哲学、新しい幸福指標

髙緑さんに初めてお会いしてからもう4年になりますが、今もお話しするたびにハッとする瞬間があります。
命の輝きや美しさを惜しみなく出しながら、人の命をつないでくれる野菜たち。「惜しい」、という言葉には「貴重で失いたくない」、「貴重なものを無駄にしたくない」という意味がありますが、まさにそう思わせてくれる髙緑さんの野菜たち。高緑さんも、自然農を始めて10年以上たつ今でも畑にいるといろんなことを気づかされるといいます。

例えば「自然農にはそれを取り巻く生命や環境への配慮、人間の生き方哲学、経済資本主義にない幸福指標など魅力ある側面が多い。その中であらゆる生命に対しての感謝や敬意の心を育ててくれる」こと。自分たち人間も含めて多様な生命の生死が重ねられていること、その中で生かされていること、その事実への感謝の想いは少しも薄まるということはない、と。
しなやかな空芯菜、大人の手の大きさの大葉、黄緑色のツヤツヤしたピーマンなど、実や葉に虫食いはあれど、まばらでつまみ食い程度の小さな穴があるのみで、どの野菜も本当に生き生きとしています。

草も、畑を守り育てるのに欠かせない命

自然農では、クワ・鎌・草刈り機など手作業で使う限られた道具だけを使用して行います。農家のみならず家庭でも用意しやすい道具だけで始められるとあって、家庭菜園で実践している人は多いそうです。ただ、専業農家として自然農にこだわり販売までしている人は少なく、「自然農のお野菜セットが定期的に買えるなんて!」とよく驚かれるそうです。

自然農は生命のつながりを絶たないよう不耕起栽培が原則。髙緑さんの一番長い自然農の畑はもう10年以上畝を壊さず、植えるところだけをそっとクワで根切りをするのみ。草刈りについても同様で、基本的には生え際から手鎌で刈ります(野菜を植えてないところは草刈り機も併用しながら)。そして刈った草は野菜のお布団のように、畝の上に被せてクワで軽く押さえます。残った草の根は畝を支え、刈った草は土の保温・保湿をし、微生物や昆虫たちの住みかともなり、畑の豊かな生態系を支えていきます。
「草を、表土にお返ししながら、畑が育っていく」と髙緑さんが表現されるように、まさに、畑で産まれた全ての命が次の命を紡ぎだし、命が循環していく様がそこにあります。

野菜の宅配を拡大、さらに開かれた自然農へ

自然農が普及していない理由の一つを、「虫や草を敵としない」といいながらも慣行農業や他の農法に背を向けていた閉鎖的な体質があった、と語る髙緑さん。「真の自然農とは何ものも敵としない」ものなのではないか。信念を大事にしつつ時代に即した、もっとお客さんに喜ばれるサービスができないか。今後はオーナー制度や貸農園も構想中で、自然農を一般の方にも普及するためにもいずれは始めたいと夢を語ります。

今春いづみさんもこれまでの仕事を辞め、専業農家として再出発。畑を新たに借り、雨避けハウス栽培もはじめ、宮崎市内のお客さんに車での配達も始めました。
現在、毎週火曜日が野菜の発送日。月1回~4回から回数を選べるお野菜定期便で、顧客の8割は県外発送。私も7月のお野菜セットを頂きました。大好きなトマトがたっぷり入って空芯菜やキャベツも入って約13種!野菜好きの私ですら1週間で食べきれるか心配なほど(配達用には少量セットもご用意されています)。
発送作業は夜中の2時から開始。畑の様子、最近の作業、自分の思い、家族のこと、言葉を選び誠実にしたためたお便りと一緒に、命の詰まったお野菜が届きますよ。

  • ブログページ―おいしい野菜の見え方
  • 取材:大角恭代

    小林市在住。大学卒業後、㈱ファーストリテイリング勤務。2011年2月Uターン。野菜ソムリエ。たまたま食べた無農薬無化学肥料栽培の文旦に衝撃を受け、おいしい野菜の育ち方に興味をもつ。おいしいと思う野菜があると畑にいき、生産者と想いを語る。

    夢は『いつでもどこでもおいしい野菜が食べたい、広めたい』。

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