
今年に入って、各種メディアを騒がせているサービスが「OFFICE DE YASAI」だ。KOMPEITOという東京のベンチャー企業が始めたサービスで、今年に入ってワールドビジネスサテライトや誠Biz.IDなどのメディアで紹介されている。
サービス内容としてはとてもわかり易く、地方で採れた野菜を直接東京都内の会社に届けるというもの。社員はおやつ代わりにオフィスで野菜を丸かじりする、というものだ。オフィスで野菜を丸かじりだなんてそんなサービスが流行るのか、という疑問を持たれるかもしれないが、これが大盛況しているのである。しかも、生産者は市場に出す価格よりも高い価格で取引ができるという。
なぜこのようなサービスが大成功するのか。僕が思う理由は3つである。
一つは、株式会社KOMPEITOの営業力である。KOMPEITOの川岸社長はエリートなのだが、それを全然感じさせない気さくな方である。しかも長身でイケメンにもかかわらず、トマトのかぶりものをかぶって、営業に行ってしまう変態、いや、ユーモア溢れる社長なのである。川岸社長については、もっと、書きたいのは山々なのだが、食のマーケティングという観点からは外れてしまうので、このへんで。まぁ、社長が素晴らしい人なのである。
二つ目は顧客を個人ではなくIT企業に絞っている点である。企業がOFFICE DE YASAIを導入する大きな理由は、「社員の健康増進」である。僕もそうだったのだが、IT企業の社員は総じて生活が乱れている(笑)
彼ら彼女らの生活はだいたい、9時くらいに起床して、10時の出社に滑りこむ。そしてワイワイと仕事をして、22時過ぎに退社。そこから飲みに行って、ラーメン食べて、終電で帰る。帰宅は深夜の1時である。こんな生活をしている社員を抱えているIT企業は、なんとか社員に健康的な生活を送ってほしいと思っている。そこで、社員に野菜を食べてもらい、健康な食生活を送ってもらえるというのは、会社として非常に魅力的なサービスなのだ。なので、福利厚生費として会社は計上する。
三つ目は野菜を丸かじりするのは、「超イケてる」行為という理由である。これは地方在住者にはにわかには信じられないかもしれないが、渋谷、新宿、丸の内で働くOL達が、オシャレなオフィスで野菜をかじる光景は「映える」のだ。事実、傍から見ていて、相当可愛い。そして、腹の立つことにその可愛さを彼女たち自身が十分に理解している。「こんなオシャレなオフィスで、バリバリしているイケてる私だけど、野菜を丸かじりしちゃう度胸はあるのよ(テヘペロ)」というわけである。さらにSNSを使いこなすIT企業のOLたちである。「野菜を丸かじりする可愛い私みてみてー!」という、普段の仕事中には見せない、とびっきり笑顔で「軌跡の一枚」を撮り、それをfacebookに投稿する。このようにして「OFFICE DE YASAI」のサービスがどんどん拡散していくのである。
この3つの理由から、何も野菜を企業に販売しているだけではない、というのがご理解いただけたのではないだろうか。社長が長身のイケメンで素晴らしい人という点を除くと、サービスを購入している会社は「社員の福利厚生」として野菜を買い、社員は「野菜を丸かじりする私って健康的でイケてる!」という満足を得ているのである。
商品を販売するときに考えなければいけないのは、お客さんは「本当は何を買っているのか」ということである。野菜だからといって、野菜として買ってもらわないといけない理由は無い。本当の顧客目線でサービスを考えると、あらゆる可能性は広がるのである。
追伸
「これだけ、川岸社長のことを絶賛しておけば、来週なにか野菜が届くかも」なんて下世話なことは、一ミリしか思ってないです。
更新日時:2014.06.18(水) 14:15:23
生産者でもなく、飲食店経営もしていない僕が、「日南の食」をテーマに店舗を出店し、さらに利益も上げなければ行けない。設備や機材も無いので、一から準備しなければならない。しかし、マルシェは2日間だけなので、機材に大きな投資もできない。さらに、本来の仕事もあるので、そこまで準備に時間を咲くこともできない。
状況的にはかなり厳しい環境であったけれども、顧客は子どもたち。日南の食をテーマにして、子どもたちに喜んでもらえて、しっかりと利益が上がる仕組みを作る。
そこで、目をつけたのが金魚すくいだった。
金魚すくいは時代が変わってもお祭りでは必ず子どもたちが群がるキラーコンテンツである。さすがに金魚は食べられない(はず)なので、ヤマメのつかみ取りでもしようかと考えたが、原価がめちゃくちゃ高く、かつ管理も難しそうなので却下。ノボリコという小さい魚を金魚すくい見たいに救ってみようかと思ったが、ノボリコを調達&管理するのが大変そうなのでやはり断念した。
「なにか、いいアイデアは無いかなー」と思って考えていた時に、とあるみかん農家さん宅の庭でキンカンが大量になっている、という噂を聞きつけ、金魚すくいではなく、スーパーボールすくいの要領で、キンカンをすくってみたらどうだろうか、と思い至った。家で実験してみたところ、難易度的にもちょうどいい! キンカン自体も「きんかんたまたま」のようなブランドものではない、ただ庭でなってるものなので、原価も抑えられる。結果、みかん農家さんからキンカンを40個200円でゆずってもらうことにした。
後は人出の問題だけ。この件を日高勇さんという方に相談したら、「やろう!ガンガンやろう!」と、とっても頼りになる返事をいただいたので、備品の準備等々の細かい部分はお願いさせていただいた。とても頼りになる素晴らしい方でとっても助かった!
これで準備は万全!あとは当日を待つのみ。である。
想定は見事にあたり。一回200円という料金設定も調度良かったらしく、1日目から子どもたちが、キンカンプールに押し寄せ、大賑わい。中には相当上手な子もいて、たくさん取られたけれど(笑)、最終的にはしっかりと利益を出すことができた。
利益をだすことは、市場に評価をされていること。市場というのは「人間のニーズ」の集合体なので、市場に評価されるというのは、みんなのニーズに応えられている、ということなので、自信をもって胸を張れることである。
もともとは、1個5円でしか売れなかったキンカンを、遊びの要素を加えて200円で売る。大事なのは、お客さんは「何を買っているのか」を知ることである。今回のキンカンすくいでは、だれ一人としてキンカンを買っていない。「水に浮かんで流れているキンカンを、敗れるかもしれないポイでスリルを感じながらすくう楽しさ」を買ってくれているのである。もっと言うと、親御さんが「我が子、我が孫が一生懸命に挑戦している様子を見たり、一緒に遊ぶこと」を買っているのである。
結果的には原価率は5%台に収まり、市場価格の20倍でキンカンが売れた。大事だったのはキンカンを売るときに、「お客さまは本当は何を求めているのか」をちゃんと把握すること。もし、普通のキンカンをそのままキンカンとして販売していたら、大赤字になっていたはずである。
ちなみに、今回出た利益は、手伝ってくれたメンバーと日南市内で、打ち上げでBBQをして、残った利益は手伝ってくれたみんなにお返ししました。(数百円だったけれど。苦笑)
更新日時:2014.05.31(土) 09:42:56
4月28日に日南市で行われた「海幸・山幸マルシェ 日南2014」に出店しておりました。生産者でもなく、飲食店でもないので、はじめは出店するなんて、全く考えてなかったのですが、マルシェの事務局の方から「飲食店をやってなくても売れる商品を作ってみろ!」と発破をかけかれ、つい乗せられてしまい、出店することになりました。マルシェの事務局恐るべし。。。
出店すると決まったのは良いのですが、「はて、何を売ろうか、、、。」と考えてみるのですが、ふだん農業をしているわけでもなく、飲食店をしているわけでもないので、販売するものが無いのです。。。 でも、ちゃんと利益を上げないと赤字がでてしまうわけです。
こんな時にまず考えることは、「マルシェに来てくれる人で『困ってる』人はだれか?」ということ。そこで、昨年のマルシェ来場者がどんな人達なのか、そして出店者はどんなお店だったのか、から調べることにしました。
その結果、20代後半~40代の家族連れが多く来ていたことが分かり、そんな彼らが困っていること(本人たちは気がついてないことも含む)を想像してみました。
お客さまは日南の美味しい海幸山幸を食べて、お腹いっぱいになって、マルシェを楽しむ。ステージイベントを見て、家族で楽しむ。出店者も普段生産している自信のある最高品をお客様に提供する。
みんな楽しんでるイベント。しかし、よくよく考えてみると、実は子どもたち向けのお店が一店も無かったんです。家族連れが多いイベントなので、来場者の5人に1人以上は子ども
のはずなんですが、子供向けのお店が無かったのです。
ということで、ここの子どもたち向けのサービスを提供する店舗を出すことにしました。
しかし、子どもたちが喜ぶおやつなどを作ろうにも、僕にはそんなスキルは無い。うーん、子どもたちに喜んでもらえて、しかも「日南の食」を絡めたサービスとは、、、。苦悩が続きます(大げさ)
この会場で何をすれば、子どもたちに喜んでもらえるだろう、、、。
そこで、救世主が現れます。 おお神よっ!!! 後編に続く。。。
更新日時:2014.05.18(日) 13:15:58
前回は同じコーヒーでも飲む場所によって、価格が違う、というお話でした。
それは、商品の質に加えて、コーヒーを飲む環境などで付加価値がつけられていく、ということでした。
さて、それを踏まえて、スターバックス、ドトール、マクドナルドのコーヒーを飲むお客さんは、実際は何に対してお金を払っているのでしょうか?
まずはスターバックスから。
コーヒー1杯の値段は300円と3社の中で一番高くなっています。スターバックスでコーヒーを買っている人は何に対して300円を払っているのでしょうか?
スターバックスの顧客は、ある程度時間に余裕がある非喫煙者。その顧客層に絞って、全店舗で禁煙にし、座席を詰めすぎず、ゆったりとできる空間作りをしています。くつろいでもらえるように、洗浄が不要で、机とぶつかっても音がでない紙コップをできるだけ採用しています。さらに、落ちつける静かな空間を維持するために、顧客からの要望が多かった「アルコールの提供」もしなかったわけです。(最近、一部の店舗でアルコールの提供を開始するらしいので、その動向も個人的にとても注目しています。)そして、そんな「スターバックスのコーヒー片手に仕事するイケてる私」という自己満足!?を得られることに対してのブランド力も付加価値につながっています。
次に、ドトールコーヒー。
1杯200円弱とスターバックスに比べると安くなっています。では、ドトールコーヒーの顧客はだれか。それはスターバックスの顧客とは全く逆の人たち。すなわち、喫煙者で時間の制限がある人。客先訪問を控えたビジネスパーソンが15分間、タバコとコーヒーを片手に資料のチェックをする、ような利用イメージです。なので、もちろんほとんどが喫煙席ですし、注文してからコーヒーが出てくるのも、とても早い。回転率をかあげるために椅子も硬いし高い。(椅子の硬さ、高さはお客さんの滞在率に大きく影響します!)スターバックスとドトールコーヒーは同じコーヒーチェーンでも狙っているターゲットが全く違うんです。
では、マクドナルドの100円コーヒーはどうでしょうか?
マクドナルドの顧客層は若い人たちを中心に幅広く設定されています。喫煙席も禁煙席もあります。座席は硬く、高さもあるので、回転率をあげたい一方で、無料のコンセントがあったり、Wifiも整備されています。ターゲットを幅広い若者に設定しているんでしょう。そして、高級アラビカ豆を使用した本格的コーヒーをドトールの半額の100円で提供しているのは、本当に驚きです。しかし、実はこれにはからくりがあります。
マクドナルドの利幅はコカ・コーラとポテト、ビッグマックになっています。マクドナルドの売上を増やすためには、客数と客単価しか変数がありません。別の言い方をすると、二つのうち、どちらかを変えることで、売上額は増えるわけです。そこで、目をつけたのが、客数を増やすこと。日常良く飲まれるコーヒーに目をつけ、美味しいコーヒーを目当てにたくさん来店してもらい、コーヒーと一緒にビッグマックやフライドポテトを注文してもらおう、という作戦なわけです。つまり、我々は100円で美味しいコーヒーを飲ませてもらう代わりに、ビッグマックやフライドポテトを売りつけられる権利を提供しているわけですね(笑)
このように考えると、普段の消費行動を分析していくと、本当は何を買っているのかがみえてきますね。
消費者心理を紐解いていくと本当に面白いものです。
更新日時:2014.05.07(水) 15:37:39
この原稿をスターバックス(以下、スタバ)で書いている。スタバに来るたびに思うんだけれど、コーヒーほどうまく差別化されている商品は他には無いんじゃないか、と思うほどである。
日本に存在しているコーヒーを価格順に並べてみると一番安いものが、量販店で売っているコーヒー豆だろうか。計算してみると一杯あたり6円くらいで飲めることになる。(お湯をわかす費用などは考慮しない)。その次は一つ一つパックに入っているドリップコーヒーで一杯あたり15~30円前後。次はマクドナルドのコーヒーで100円。缶コーヒーが130円。次が急成長中のセブンカフェのドリップコーヒー150円。ドトールコーヒーで200円前後。スタバ、タリーズが同価格帯で300円前後。ちょっとオシャレな喫茶店で500円。高級ホテルでは1000円前後で出されている。僕は経験上、それ以上のコーヒーを飲んだことは無いのだけれど、もっと高いコーヒーもきっと存在するのだろう。
豆の品質が違うから当然だ、という声もあるだろうが、マクドナルドのコーヒーをホテルで出されて、10倍の価格差ほど見分けられるか、と聞かれると自信がない。もちろん僕が見分けられないだけだ、と言われてしまえばそれまでなのだが、実際ほとんどの人がスタバで「グアテマラ」と「キリマンジャロ」の違いも分からずに注文しているはずである(笑)
なぜ、同じコーヒーなのに一杯6円から1000円までの価格差が出てくるのだろうか。それこそまさに差別化である。もはやコーヒーの品質だけに価格が付いているのではなく、コーヒーの周りに存在するあらゆる要因によって価格が決まる。さらっと挙げるだけでも、カップ、スプーン、添えられるお菓子、コーヒーを運ぶ店員、座る椅子、部屋の温度、部屋の照明、流れる音楽、お店の歴史、客層、コーヒーを入れる人、時間帯、コンセントの有無、Wi-Fi環境、置いてある雑誌、等々数えだすとキリがない。それほど多くの要因が組み合わさって、最終的にお客が払ってもいいと思える金額が決定する。
もちろん、みんなが一杯1000円で売れるコーヒーを目指す必要は無く、どの価格で売るのか(≒どんな人に来て欲しいのか)を独自に決めていけば良い。大事なのはココの価格帯でこういう人に売りたいと決めたら、そこからブレないことである。
次回はマクドナルドとスタバとドトールのマーケット内のポジショニングについて紹介してみます。
更新日時:2014.04.16(水) 12:58:04
試食を提供すれば売上が上がる、は本当か? ~前編~
最近、生産者と一緒に催事などのイベントに行って、商品の販売を手伝うことが多いです。(というよりも、勉強させてもらっています。) 「いらっしゃいませ~、美味しい〇〇いかがですか~?」などと元気にお客様に声掛けをしているのですが、実際に売り場に立って販売してみると、勉強になることがたくさんあります。
催事のようなイベントに行くと必ずあるのが、「試食」ですね。ブースに来てもらうために行うのが試食なんですが、この試食が最終的に売上にどう影響するのか、という非常に興味深いんです。
試食を提供することで、売上につながるのは、
① 美味しかったから
② 試食して買わないと悪いから
の二つの理由がありますよね。
消費行動のプロセスはがアメリカの広告・販売の書籍の著者、サミュエル・ローランド・ホール氏が提唱したAIDMA(アイドマ)理論というのが有名で、
A(Attention)・・・注意の喚起
I(Interest)・・・ 興味の喚起
D(desire)・・・・ 欲求の喚起
M(Memory)・・・・ 記憶
A(Action)・・・・ 購入
というものがあって。上記の一連の流れで消費につながる、と言うものなんですが、今回は「試食がこのAIDMA理論でどういう意味を持つのか」を考えてみたいと思います。ちなみに、インターネットの登場以降、AISAS(アイサス)理論がうまれ、ソーシャルメディア時代はSIPS(シップス)理論などが生まれてきているのですが、そこは本筋とずれるので、またの機会に。
ブースを出店して商品を販売するようなイベントの場合、たいてい、たくさんの生産者もブースを出店しています。多い時は100社以上のブースが集まることも珍しくありません。それだけライバルが多い中から、自分の商品を買ってもらわなければいけないので、たくさんの工夫が必要になってきます。
まず、100社の中から自社を知ってもらわなければなりません。AIDMAの中でいう「Attention 注意の喚起」が必要になるわけです。有名な会社やブランドであれば、お客さんの方から、自分の商品を買いに来てくれるかもしれませんが、多くの場合は初めて会うわけです。そのような状況で、注意を自分に向けてもらうためには、いくらかの工夫が必要になってきます。
「いらっしゃいませ~、美味しいですよ~、」と威勢よく叫ぶ!?のも方法の一つですし、オシャレな看板を掲げるのも、美男美女のスタッフが立つのもありかもしれません。まずは、目に泊めてもらうことから始まります。
さて、自分に注意を向けてもらえれば、今度は「Interest 興味の喚起」です。この「興味をもってもらうこと」を実現するために行うのが試食です。ここはとても簡単で、「試食をしている」という事実そのものが「興味の喚起」になります。試食に興味を持たない人はそう多くないですよね。
さて、「試食できる」という事実で興味を引きつけたら、「Desire(欲求の喚起)」を行わなければなりません。ここのフェーズでは「試食をした結果、欲しい」と思わせなければなりません。つまり、「Interest(興味の喚起)」から「Desire(欲求の喚起)」をスムーズに行うことが「試食」の一番の目的なわけです。
そして、Desire(欲求の喚起)ができ、スムーズにいけば、その場でAction(購入)に至りますが、その場で買ってくれない場合はMemory(記憶)をしてもらえれば、他のブースを回った後に、再来してくれ、購入してもらえるわけですね。
AIDMAやAISAS、SIPSなどの消費行動のフレームワークを覚えておくと、筋の良い仮説立てができるので、オススメですよ。もちろん、商品や販売チャネルによって、どのフレームワークで考えるのがいいのかは変化するので、その使いこなし方も大事になってきます!
そして、次回は売上をあげる試食と、売上を落とす試食について、解説します!
※ 記事中に誤植があり、AIDMAの提唱者はアメリカのサミュエル・ローランド・ホール氏に修正しました。ご指摘いただき有り難うございます。
更新日時:2014.03.18(火) 22:53:23
よく、品質の均一化、安定供給の担保ができないから日本の農家は厳しい、という意見がありますが、それは組む相手を間違ってるからです。イオンやセブンなどの大手流通は毎日全国の店舗に何百、何千万人のお客さんが来てくれ、その人達に安定して均一化した商品を届けることを優先します。そして大量の出口を持っているからこそ、価格決定権を持っています。商品を大量に持っている農協や経済連などであれば、彼らと交渉もできますが、一人の生産者が彼らと対等に交渉するのは至難の技です。
さらに、大手流通チェーンのお客さんは購買決定において「価格」が相対的に大きな要素をしめるので、大量生産品や安い人件費を武器に作られた商品相手には苦戦を強いられるわけです。実際、みかんジャムをディスカウントストアで売られてるキューピーのものと、日南のみかん農家が作った手作りジャムとを比べると、値段は3倍も4倍も違ってきます。それもそのはずで、使われているミカンの質、量が圧倒的に違うこと、防腐剤などの添加物を使ってないためなのですが、これだけ価格差が出てしまうものはディスカウントストアでは売れないでしょう。そもそも、パートナーとして組む相手が違うわけです。
価格、安定供給の面ではいち生産者は大手流通チェーンに並ぶ商品には勝てません。その他の部分で勝負をしなければいけないのです。ですので、その商品+αの「他の部分」で勝てる舞台を選ばなければなりません。マーケティングに重要な4つPという言葉があってProduct(商品)・Price(価格)・Promotion(広告)・Place(販売チャネル)、がマーケティングには大切だと言われています。地域産品の販売戦略においてPrice(価格)やPromotion(広告宣伝)では不利になってしまう分、Place(販売チャネル)はとっても重要になるわけです。
更新日時:2014.03.04(火) 13:00:48
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