宮崎が誇る名産物干したくあんの魅力を広めたい-道本英之さん

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道本英之(みちもと ひでゆき)
道本食品株式会社代表取締役社長。
1957年生の宮崎県出身。
宮崎南高校、慶応大学経済学部卒、旭化成株式会社を経て道本食品へ。
宮崎の特産品である干したくあんの魅力をPRするため、新商品の開発や海外の物産展への出展などにも精力的に取り組む。特技は掃除。
■宮崎県干したくあん・漬物研究会会長
■宮崎県食品産業協議会・宮崎県食品産業協議会クラスター協議会会長
■(社)宮崎県物産貿易振興センター監事

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宮崎が誇る名産物干したくあんの魅力を広めたい-道本英之さん
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シェア日本一の干したくあん

宮崎県田野町で見られる秋の終わりから冬にかけての風物詩といえば、高さ5メートル、長さは100メートルにも及ぶ大根干しのやぐらです。鰐塚山から吹き下ろす鰐塚おろしと、豊かな宮崎の太陽の光に当てて、およそ2週間、天日乾燥します。宮崎の季節の話題として登場するあの大きなやぐらは、宮崎がシェア日本一を誇る「干したくあん」のためのものです。
天日乾燥した大根を糠と塩につけて作る干したくあん。現在は、干さずに漬け込むたくあんが増え、この製法を守り続けているのは宮崎と、鹿児島の一部となりました。干したくあんの発祥は関東地方。そのため、使用される大根は、ルーツを練馬大根に持つ辛みのつよい力強い味わいのものです。スーパーなどで私たちが見かける青首大根とは異なる品種の大根が、干したくあん用のために現在も生産されています。
今回の出逢い旅は、昭和40年代に宮崎県田野町でたくあん用の干し大根づくりを生産者に奨励し、現在も宮崎県産の天日干したくあんを作り続けている道本食品を訪ねました。

干し大根の魅力を広げたい

お話を伺ったのは、道本食品株式会社代表取締役社長の道本英之さん。会社にお邪魔すると、資料を交えてわかりやすく干し大根の位置づけなどについて教えて頂きました。宮崎育ちの私も恥ずかしながら知らなかったエピソード、例えば、先に紹介した大根干しの櫓は切り干し大根用ではなく、たくあん用であることや、干したくあんは関東、東海、中国地方で広く製造されていたものの、今もその製法を守っているのは宮崎県と鹿児島県の一部だけであり、宮崎が生産量日本一であることなどなど。干したくあんは、宮崎が誇る名産品で故郷の財産であることを実感しました。
道本食品では干したくあん用の大根を作る生産農家と直接契約し、伝統を守ろうとしています。

統計によると日本の農家は60代70代が全国で半数近くを占めていますが、道本食品の契約農家55人の平均年齢は53歳。十分にPRが出来ていない干し大根の魅力を発信するためにも、まだまだ干したくあんを作り続けたいというのが道本社長の思いです。
また、工場内も見学させて頂きました。案内して頂いた道本泰久専務によると、一日に出荷される干したくあんの数は約2万個。商品化されている種類は200を超えるとのこと。生産される量は年間で1600〜1800t。冬の間に収穫した天日干し大根を、すべて自社工場にて手作業で漬け込み、冷蔵庫を使って低塩(約4%)で貯蔵し、大きさや味つけを変えて製造、全国に出荷しています。出荷先は、海外にも及び、干したくあんという商品はお客様に食べていただかないとその魅力はわからないという社長の考えから、台湾、香港、シンガポール、タイなどの商談会や物産展に参加し、PR、営業活動を行っています。

国内にとどまらず海外でも人気

その中でも、注目を集めているのが去年販売を開始した「たくあんの缶詰」です。大根を天日乾燥すると、アミノ酸の一種でサプリメントの成分としても人気の高いGABAを豊富に含むことが宮崎県食品開発センターの研究によりわかったことが、たくあんの缶詰考案のきっかけとなりました。製法を工夫したことで常温で3年間保存することができす。缶詰は、携行しやすいとあって海外へのお土産品としても人気が高まっており、宮崎空港や羽田空港の国際線の売店にも並んでいます。

また、この秋にはたくあんの魅力をPRしようと制作した地元ミュージシャンが歌う「日向漬(ひなたづけ)」のイメージソングもお披露目予定です。国内唯一の干したくあん専業メーカーとして、その伝統を守り、安心、安全な自社生産にこだわりながら、時代の変化に対応した商品づくりや海外への販路拡大にも積極的に取り組む道本食品。田野町の田園風景にあの大きな大根やぐらが立つ季節がもうすぐやってきます。

取材: 横山美和 (よこやま みわ)
宮崎市出身。宮崎大宮高校を経て、立教大学社会学部へ進学。在学中よりフリーアナウンサーとして活動。2003年に帰郷しテレビ宮崎入社。現在は子育てをしながらUMKテレビ宮崎、MRT宮崎放送、宮崎サンシャインFMの番組、CM等に出演の傍ら、宮崎県内で絵本とピアノのステージ「おはなしとおんがくの森」の公演も行う。
facebook: 横山美和

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