へべスの魅力をもっと知ってもらいたい-成合利浩

producer_profile01

成合利浩(なりあい としひろ)
ヘベス専業農家。アイデアとユーモアと実行力が豊富で、そのヘベスにかける熱い想いは伝播している。2年前からヘベス部会 部会長も務め、販売促進、後継者育成など自ら先頭に立って推し進めている。今年、地元有志で開設した産直通販サイト『日向の恵み』もオープンした。

  • お問い合わせ
  • <ネット通販:日向の恵み>
    http://hyuganosyun.jp/
  • <成合へべす園>
    http://tosichan.blog56.fc2.com/
アーカイブ (Archive)
へべスの魅力をもっと知ってもらいたい-成合利浩
  • producer_slide01
  • producer_slide02
  • producer_slide03
  • producer_slide04

日向特産平兵衛酢(へべす)

江戸時代末期(1830〜1848)に、日向市富高の長曽我部平兵衛が日向の山中で発見し、持ち帰って植えて広まったといわれている平兵衛酢。
天然の木酢で、夏に収穫できる貴重な柑橘です。嫁入り道具の1つにヘベスの苗を持たせる地域もあり、ヘベスは日向市内へ広がりました。
現在ヘベス農家は日向市内を中心に約70軒。ヘベスの認知度を上げようと、成合さんたちは市長にも働きかけ、今年の4月には日向市役所日向ブランド推進室の中にヘベス担当者も配置されました。

同じように使われるカボス(大分)と比べて、栽培面積も収量も20分の1以下で通年出荷も確立されていないヘベス。生産量の大半は宮崎県内で消費されており、県外に販路拡大するための課題は少なくありません。
ただ、成合さんはその味に絶対の自信をもっています。親戚や近所からもらうことも多く「あって当たり前」なために、「ヘベスを活かした料理や加工品の開発なんかも進んでなくて、ヘベスの認知度が低い。そこを変えたい。ヘベスの魅力をもっと知ってもらいたい」と成合さんは意気込みます。

父が大事にしていたヘベス

成合さんはヘベス栽培歴約9年。経営していた自動車整備工場を閉めて、就農しました。元々農業には全く興味がなかったそうです。きっかけは「父親が余命1年と宣告された」ことでした。農業一筋で生きてきた成合さんのお父さんが大事にしてきたもの、それがヘベスだったのです。ヘベス栽培の名人として周囲の尊敬も集めてきたお父さん。その誇りがたっぷり詰ったヘベスを引き継ごうと、家業を継ぐ事を決めました。今ではヘベスの魅力に取り付かれて、並々ならぬ情熱を注ぎます。 そんな成合さんに影響を受けて義弟さんが関西から移住!ヘベス農家として新規就農しました。

もちろん、畑を訪問したり作業スケジュールを確認したり成合さんも手厚くサポート。なかなかうまくいかないことも多いけど、「失敗は失敗じゃない(失敗することから学べばいい)」「挑戦することを恐れないで、常に挑戦していってもらいたい」と明るく励まします。
今、成合さんの周囲にはヘベスの魅力に取り付かれた人、県外でヘベスを広めてくれる人、たくさんのヘベス仲間がいます。本当に好きなことや大事にしていることって、人に伝わる。熱意が人を動かす力になる。私も胸が熱くなりました。

ヘベスマン

成合さんは、市内唯一のヘベス専業農家。「ヘベス一本で食べて行く」と言い切ります。
ヘベスの魅力を広めるために、自ら営業活動も展開。時には「ヘベスマン」スタイルで、全身緑のタイツに輪切りのヘベスのかぶりものをして、店頭やイベントにも登場。道行く人々の視線は集中、若者は携帯で写真を取ります。「おもしりぃよ〜。これいいよ〜。この姿をみて足を止めて、ヘベスの試食をして『美味しいー!何ですかこれ?』て、いいなる人も多いかいね〜」。道行く人の目を引く事も、ヘベスを知ってもらうきっかけの一つです。

先月は東京・名目黒でヘベス料理のフルコース『ヘベスナイト』を開催。ヘベスの栽培の話から料理方法まで、あますところなくヘベスの魅力を全力で伝えました。もちろん一度見たら忘れない全身緑色のタイツの「ヘベスマン」スタイルで。
その柔らかい笑顔と物腰からは想像できない、意思の強さと行動力で周囲を巻き込む成合さん。ヘベスナイトも東京での店頭販売も、成合さんがきっかけでヘベスを知り、その魅力に取り付かれた人たちによるものです。私も今回の取材を通してヘベス愛好家の一人になりました。成合さんを中心に、この人の輪が今後も広がることを確信しています。

根っこを大事にする栽培

成合さんの畑に入ると、真っ先に目に飛び込んできたのが木のチップ。ところどころ土に埋もれながら小さな山になって土の上にまかれています。質問すると、剪定した木の枝を機械で細かく砕いたものでした。
成合さんは、循環型の土づくりを進め、葉っぱや折れた枝はなるべく畑の外には持ちださず、なるべくその土地に返すようにしています。そして、ヘベスを収穫・出荷した量と同量の完熟豚ぷんを毎年畑にまきます。

豚ぷんはEM菌等を活用し、抗生物質に頼らないで肥育している農家さんから分けてもらったもの。畑から外に持ち出した養分を(ヘベスを収穫した分)、こうやってまた畑にかえすのだそうです。
「土は気を使う、土が元気じゃないと木も元気にならない」「木が強くなれば実も強くなる」と土作りに力が入ります。また葉っぱを丈夫にするための、カルシウム材の葉面散布など、来年の実をつくる「葉っぱ作り」も欠かせません。
ヘベスの葉っぱは、何かを包むようにくりんと上向きです。成合さんのヘベスの木は、元気いっぱい上をむいて笑っているように見えました。

クセがないのにクセになる。どんな料理にでもあうヘベス

成合さんにヘベスの魅力を尋ねると「和洋中どんな料理にもあうこと」と即答。
早速ヘベスをいただきました。まず、半分に切ると溢れてくる果汁の豊富さにびっくり。果汁はさっぱりした香りと適度な酸味で、お酢やレモンが苦手な人でも食べやすそう。酢の物に入れてもニンジンや大根と仲良く調和します。試しに7才になった姪にあげると、ヘベスを丸ごとかじって「おいしい」とにっこり。小さな手で次から次へヘベスを半分に切っては、嬉しそうにがぶりとかじりつきました。
計ってみると、7月末でもピンポン球サイズのヘベス1個から10ccの果汁が取れました。ヘベスは木酢の中でも果汁量の多さは群をぬいています。また、最も果汁が入る10月には皮も極薄になり、ヘベス一個からその体積の50%の量の果汁がとれるようになります。

またヘベスの皮はすり下ろして、そうめんや刺身にあう薬味としてもお勧めで、柔らかな苦みとほのかな柑橘の香りでめんつゆの味も引き立てます。薄くスライスしたヘベスを水に浸したヘベス水もお勧めで、最近の私の水筒にも専らヘベスが1〜2枚入っています。とにかくどんな料理にでも使えます。
成合さんは昨年から農薬を使用しないヘベス栽培も開始。『ヘベス狩り』ができる観光農園をつくることが夢です。「小さなときからヘベスに触れてほしい、もっと身近にヘベスを感じてほしい」ヘベスを愛する人の輪を広げたいー。夢は尽きる事がありません。

  • ブログページ―おいしい野菜の見え方
  • 取材:大角恭代

    小林市在住。大学卒業後、㈱ファーストリテイリング勤務。2011年2月Uターン。野菜ソムリエ。たまたま食べた無農薬無化学肥料栽培の文旦に衝撃を受け、おいしい野菜の育ち方に興味をもつ。おいしいと思う野菜があると畑にいき、生産者と想いを語る。

    夢は『いつでもどこでもおいしい野菜が食べたい、広めたい』。

PAGE TOP