毎日の暮らしに植物の力を山の中のハーブガーデン-藤崎直子

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藤崎 直子(ふじさき なおこ)

agua de hierba(アグア デ イエルバ)代表。
1970年日向市生まれ。東京育ち。コスタリカでの農園生活を経て、日向にUターン。2015年ハーブ農家として新規就農。ハーブティの生産を主に毎日の生活に使うハーブ加工品も製作中。

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【住所】
宮崎県日向市平岩4069-23

【FAX】
0982-57-1877

【携帯電話】
080-3379-1877

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毎日の暮らしに植物の力を山の中のハーブガーデン-藤崎直子
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コスタリカのエコファームで暮らした4年間

藤崎さんは日向市生まれ。幼い頃に一家で東京移住。植物や菜園のある暮らしへの憧れが強く、30歳の頃、たまたまインターネットでみつけたコスタリカのドイツ人が営むエコファームのボランティアに応募。4年間農園に住み込み生活する中で、ハーブの栽培や活かし方を身につけていきました。
中米の国コスタリカは「エコツーリズム」発祥の地と言われ、国土の約4分の1が国立公園や生物保護区で、自然環境を守りながらそれを生かした観光が盛んなところです。

また赤道に近く、火山や熱帯雨林など豊かな自然の中で貴重な動植物の宝庫。ここでの暮らしが、その後の藤崎さんの生き方を決定付けました。
「コスタリカの農村の人は、怪我をしたとき、赤ちゃんの夜泣きがすごいとき、体調が悪いとき、当たり前にハーブを使うんです」。日常生活に溢れる自然の恵み。自然の中で暮らす農村では、ハーブは特別な存在ではなかったと話します。

自然体で。この畑にあうハーブを探して

コスタリカから日本に帰国後、2011年両親が先にUターンしていた日向へUターン。現在は山の頂にある土地を開墾し、念願のハーブ園に向けて栽培をスタートしました。
2015年には宮崎県初のハーブ農家として新規就農登録を済ませ、本格的にハーブ農家としての道を歩みだしました。現在は二人の子どもを育てながら、昼間は栽培管理やハーブを使った加工品作りに勤しむ生活を送っています。

「元々ここはヒーリングガーデンにしようと思って色々植えたんです」「50種くらい植えたんですけど、いつの間にかなくなったりしていて、結局育ったのは20種くらいでした」。無理に育てることはしない、土地にあったハーブを育てる、というのは藤崎さんが大事にしていること。藤崎さんの畑では「レモンバーム」や「レモンバーベナ」などレモンの名前を冠したハーブが育ちやすいそうです。
畑を囲むように植えられた木々も、鈴なりの可憐な白い花を咲かせるブルーベリー、小さいながらも鮮やかな桃色の花が可愛らしいエリカ、など個性豊かにハーブガーデンを形作っていました。

五感を大事に、色や香りを見極めて収穫

畑の土は明るい褐色。粘土質の固い土を改良するために行う作業は、少しの有機物や完熟した牛糞堆肥を年に1〜2回すき込むくらい。
ハーブは収穫適期の見極めが何よりも大事。藤崎さんが収穫適期の判断材料として一番大事にしているのは、それぞれのハーブの色や香りや見た目。撮影した4月末にはちょうど花系のハーブが開花し始めた頃で、畑を見渡すと小さいひまわりのようなカモミールや、鮮やかな青や桃色のコーンフラワーが目に飛び込んできました。

すでに青々と群生しているミントやレモンバーベナなどは、まだまだ香りが薄いそうで、収穫は初夏の予定。香りが強いというのは効能が強いということ、とハーブが一年で一番力を蓄えるタイミングを待ちます。 藤崎さんは、コスタリカでドイツ流の月の満ち欠けにあわせて農作業をすることで植物の力を最大限に引き出す栽培方法も学びましたが、ここの畑では天気や湿度などそれ以外の要因も多く、うまくいかないことも多かったそうです。今は自分の視覚や嗅覚などを大事に、日向のこの畑にあったハーブ栽培を確立しようとしています。

お気に入りのハーブ生活

藤崎さんのオリジナルハーブティは3種類。オリジナルブレンド、ホーリーバジル、リラックスブレンド。ブレンドのポイントは、味はもちろん彩りも大事に。オリジナルブレンドはブルーのコーンフラワーを指し色に、ミントやレモン風味の爽やかな味と香りがいきたブレンドです。
ハーブティはティーポットに手で崩したハーブを小さじ1杯、熱湯200mlを注ぎ、ふたをして5分ほど蒸らして出来あがり。立ち上る香りとすっきりした飲み口で夏にはアイスでいただいても美味しそう。今後はティーパック入りのハーブティの商品化も計画中です。

藤崎さんの毎日はハーブで溢れています。ハーブティをはじめ、ハーブソルト、石鹸、美容クリーム、入浴用ハーブブレンド・・・などどれも手作り。
人気のミツロウ入り美白クリームを頂きました。クリームを手にとってレモンのような爽やかな香りを感じながら手に伸ばすとサラサラのつけ心地。すべて手作りのため製造が追いついていない状態だそうです。今製造委託を探しているところで「今後は畑で収穫したハーブを使ったハーブティやクリームなど商品数も増やしていきたい」と意気込みます。

ハーブは必要なもの。ハーブの水

「agua de hierba(アグア デ イエルバ)」はスペイン語で「ハーブの水」。もともと雫のモチーフが好きで、スペイン語圏のコスタリカにいた時から馴染み深い言葉。
小さい頃から花が好きだったという藤崎さん。ハーブ畑を回りながら、ハーブに触れ、ハーブの話をする姿があまりに自然で、終始まるで天気の話でもしているようでした。ハーブの名前、効果効能や香りの話、原産地の話などさらっと口をついて出てきます。ともすると聞き逃しそうになりながら、畑を回り終えると、私もハーブに妙な親近感を抱くようになりました。土の下で根っこを伸ばし、たくましい生命力でその土地に順応して増えていくハーブがキラキラ輝いていました。

藤崎さんにとってハーブは水のような空気のような存在。なくてはならないもの、あって当たり前、生きていくのに必要なもの。私もよく「なんで野菜が好きなの?」といわれると言葉に窮しますが、こういう事なんだと気づかされました。そんな藤崎さんが注目しているハーブは、不老長寿の神草という異名を持つヒュウガトウキ、婦人病予防やデトックス効果が期待出来るよもぎ、万能のハーブと称されるホーリーバジル。
藤崎さんのハーブティを飲むとすっきりします。植物の持つ力をたくさんの人に知ってもらえますように。

  • ブログページ―おいしい野菜の見え方
  • 取材:大角恭代

    小林市在住。大学卒業後、㈱ファーストリテイリング勤務。2011年2月Uターン。野菜ソムリエ。たまたま食べた無農薬無化学肥料栽培の文旦に衝撃を受け、おいしい野菜の育ち方に興味をもつ。おいしいと思う野菜があると畑にいき、生産者と想いを語る。

    夢は『いつでもどこでもおいしい野菜が食べたい、広めたい』。

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