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細川洋一郎・細川芽衣子
『二人とも前職はグラフィックデザイナー。また、二人とも大の読書好き。芽衣子さんは高知出身、好きな作家は椋鳩十。10年ほど前に芽衣子さんが岡山、洋一郎さんが福岡にいる時に同業者が集まるチャットで出会い、遠距離恋愛からスタートし、結婚。元々旅行好きの二人だが、仕事上なかなか旅行の計画が建てられないのが悩み。休める時間がとれたときに、衝動的に福岡へ旅行に出かけることもある』

  • 細川農園
  • 〒880-0212
  • 宮崎市佐土原町下那珂(防風林そば)
  • TEL:0985-72-3663
アーカイブ (Archive)
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キュウリの生産量全国1位の宮崎県(平成22年 農林水産省調査)。宮崎平野は冬でも温暖な気候を生かした冬の促成栽培が盛んです。全国に流通する冬期キュウリの約9割は宮崎県産。
今回は、アカウミガメが上陸することでも有名な、石崎浜海岸からわずか数百メートルのところにあるハウスでキュウリを栽培する細川農園を取材させて頂きました。4代目の洋一郎さん・芽衣子さんご夫妻とご両親の4名で営まれています。こちらでは市場で滅多にお目にかかれない、『ブルームキュウリ』を専門に栽培されています。

ブルームキュウリにこだわる

「香りで感じる味と心地良い硬さの食感がこのキュウリの持ち味なんですよ」と洋一郎さん。ブルームキュウリは表面の白い粉(ブルーム)が特徴です。ブルームとは水分の蒸散を防ぐために自ら果皮に分泌するロウ由来の成分で、昔はキュウリといえばこのブルーム種でした。しかしこのブルームが農薬・汚れのようにみえる・などの理由で市場から敬遠されるようになり、鮮やかな緑色で照りが強く(=見た目が綺麗である)、鮮度が長続きする(=皮が比較的厚くて棚持ちが良く、流通・小売に有利)ブルームレスキュウリが出回り始めると、市場をあっという間に席巻しました。以後ブルームキュウリは市場での評価も芳しいものではなく、生産量も極めて少なくなったようです。
細川農園では、ブルームレスキュウリが登場して間もない約数十年前、先代が種屋さんの勧めで一度はブルームレス種を栽培してはみたものの、どうしても味に納得がいかず、再びブルームキュウリを栽培するようになったという歴史があります。「一番早く植えて、いちばん早くやめた」と洋一郎さんは明るく笑います。

昔食べたキュウリの味

なかなか市場で評価がされにくいブルームキュウリの良さを消費者へ直接届けたいと、先代が十数年前に直接販売元へ売り込みをすることに。そうして鹿児島県生協(コープかごしま)で組合員さんを集めて食べ比べ会をした時に、用意した5種類のキュウリの中で全員が選択したのが、細川農園のブルームきゅうりでした。現在も継続して取り扱われています。
細川農園のブルームキュウリは食べた瞬間、違いが分かります。ポリッというちょうど良い歯ごたえは皮が厚すぎず適度な厚さだからで、みずみずしく、キュウリ特有の青臭さを感じません。お客さまからも「水っぽくない」「昔食べたキュウリの味がする」「味が濃い」「あんまり野菜を食べない子が食べた」などの声が寄せられています。
キュウリは生育が早く、5月〜8月にかけて、朝夕二回収穫する時期が続きます。朝の収穫ではまだ小さかったものが夕方には穫れごろの大きさに。そんな成長の早いキュウリは、毎日の気配りが欠かせません。病害虫はもちろんのこと細川さんが特に注意しているのは、土中水分と根の張り具合、そして湿度。天候を5日程度先まで見て調整されています。

細川農園では、慣行栽培で行われている植え付け前の肥料(元肥)の投入を極力抑えています。それは洋一郎さんが自分で試行錯誤して辿り着いた方法です。就農して農園視察や実地研修を繰り返す中で、「他所のハウスを見ても参考にできる内容は限られる。違う土地で同じ栽培方法は通用しない。うちにはうちの土地にあった栽培方法があるはずだ」ということに気づき、土質と土壌成分の正常化や環境の改善に悪戦苦闘した末、以前より生育も収量も向上させることに成功しています。今では、主に成長ステージにあわせて液体の肥料を適量施肥する方法で栽培をされています。
元々松林だったところに建てられた細川農園のハウス。ハウスの背後にあるのは、松林が広がる砂山。実はここ、近くを走る一ツ葉有料道路の盛土を採取した跡地でした。そこを農地として使うためにハウスを作ったのが始まりです。また、先代は照葉樹林都市綾町の出身で、ハウスを建てる際に綾町の山の土を運び混ぜ、海のミネラルたっぷりの砂地に山の栄養たっぷりの土をハイブリッドして土壌改良されているのも特徴的。
洋一郎さんは「ハウスの下、50センチくらいの層がハイブリットした土壌になっていて、他が真似できないキュウリの味がだせる」。細川農園の栽培方法は誰にも真似できないのです。

海と山のハイブリッド土壌

細川流農業の学び方

洋一郎さんは就農して8年目。ここまで独学と出会いのみ、と教えてもらいました。収入の大半を関連書籍に費やしたり、あるときは廃棄予定の図書館蔵書を見つけて取り寄せたり、と「何が何でも学ぶ」スタイル。就農する際も「キュウリ栽培農家」を継ぐという前提ではなく、ハーブ・新顔野菜・穀物なども交えた少量多品種栽培をイメージしたり、トマト栽培をイメージしたり、模索されたそうですが、たどり着いたのはやっぱりキュウリ。「誰にも負けない価値を産みだせるのは今のキュウリ栽培しかない、これで勝負していく」と、キュウリ栽培に全力を注いでいます。
これから就農する人へも「高くアンテナを張り、何のために農業をするのか、目標となるキーワードを自ら見つけてほしい」と洋一郎さんはメッセージを送ります。

自身が異業種から転向した経験を元に、「作物についてプロなのはもちろん、情報収集能力を持ち、能動的に動いていく必要がある」と。細川農園は「マーケットインの農業」を目指し、「お客様が求めているものを求めている量だけ提供していく農業。経営として成り立つ農業」を公言、実行されています。その学び方は多岐にわたり、特に月に一度開かれる「興譲塾」と称する農業者が集う勉強会では、毎回有識者を招き、仲間とともに囲み語り合うことで、明日の農業を切り拓く学びを修得するなど、経営に対する意欲は衰えることがありません。
現在の細川さんのキーワードは“高齢化”。「以前より農家の高齢化が問題だと叫ばれてはいるが、それと同じく、農業という分野は来たる高齢化社会にどう対応するか。食の分野において農業が高齢化社会にできることは何か」を常に思案していることを、教えてくださいました。

地元へ。世界へ。ブルームキュウリを広める。

細川農園は、2013年度中にGAPを取得予定です。
GAP(Good Agricultural Practice=農業生産工程管理)とは、農業生産活動を行う上で必要な関係法令等の内容に則して定められる点検項目に沿って、農業生産活動の各工程の正確な実施、記録、点検及び評価を行うことによる持続的な改善活動のことです。海外に輸出する際には必ず必要になる資格で、農薬・化学肥料はもちろん、作業場所や資材の管理について厳しい基準をクリアする必要がある資格です。
また、「ブルームキュウリの浅漬け」の製造販売も試作中で、早ければ今年夏からスタートする予定だそうです。キュウリの青臭さがほぼなく、固すぎない果皮は、漬け物にぴったりです。当面は受注販売を行い、注文を受けてから製造するスタイルで、「保存料などを使わない無添加の安心安全な漬け物を提供したい」という洋一郎さん・芽衣子さん。今年の夏が楽しみです。

  • ブログページ―おいしい野菜の見え方
  • 取材:大角恭代

    小林市在住。大学卒業後、㈱ファーストリテイリング勤務。2011年2月Uターン。野菜ソムリエ。たまたま食べた無農薬無化学肥料栽培の文旦に衝撃を受け、おいしい野菜の育ち方に興味をもつ。おいしいと思う野菜があると畑にいき、生産者と想いを語る。

    夢は『いつでもどこでもおいしい野菜が食べたい、広めたい』。

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