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東 康夫(ひがし やすお)

1948年えびの市生まれ。
農業高校を卒業後、アメリカに渡り養鶏を学ぶ。
約5万羽を飼育する中規模養鶏農家。

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【販売先】
HEARTYながやま(都城市)
マルイチ (日向市)
サンシールさの (門川町)
四季彩館ほりぐち( 串間市)
・旬味菜彩 しょっぴんぐたうんウイリー( 宮崎市)
ごちそう工房サンリッチ 国富町

【自動販売機設置場所】
えびの市内 5ヶ所
小林市内 4ヶ所
高原町内 2ヶ所
湧水町内 1ヶ所
※詳しくは、お問い合わせください。

アーカイブ (Archive)
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鶏への愛。卵への自信。

取材に応じて下さったのは、創業者の東康夫さんと息子さんたち。4年前にUターンしてきた二人の息子さんも加わり、家族5人を中心に約20名のスタッフで5万羽の鶏と向き合う毎日です。
現在、えびの市内を中心に「卵の自動販売機」を11箇所設置。また地元飲食店や菓子店、スーパーなどで卵を直売します。「みんなが手軽に食べられる価格で、食べた人が健康になる卵を届けて、社会に貢献したい」と、質の良い卵を買いやすい価格で販売するのがモットーです。

「いつもありがとう」とさらっと鶏たちへ言葉をかけます。まるで子や孫を見るような優しい眼差しが印象的でした。一羽一羽の様子をきちんと目で見ながら育てるには今の飼育数が限界と判断、規模拡大は考えていないそうです。
東康夫養鶏場では卵の衛生面も配慮してケージ飼いを選択。一列に並んだケージの中から不思議そうにカメラを見つめる鶏たち。きれいにブラッシングしたような毛並みの若鷄たちを見て、昔実家の庭先で放し飼いにしていた鶏を思い出しました。

19歳で選んだ養鶏の道

東さんは次男。「実家の農業を継がなくてもいい。一から何かを始めたかった」と中学生の頃から思案し、辿り着いた答えが養鶏でした。19歳で渡米して養鶏を学び、21歳で帰国、25歳で借金して自身の養鶏場を持ちました。そのエネルギッシュさは今も変わりません。
養鶏は民家の近くを避けるなど配慮が必要ですが「山は豊かで酸素が多い、水と空気も良よく、養鶏には最良の環境」と、国有林に囲まれた山の中に現在の土地を見つけました。

最初の10年くらいは一般的な指導そのままに飼育していたものの、「薬をやっても消毒しても鶏が病気にかかる」と薬品に頼る従来の飼育方法を疑問に思うようになり、様々な文献を読み試行錯誤した結果、鶏の腸内環境を重視する現在の飼育方法に辿り着いたそうです。それから約30年、「最初の頃は周りにも変人扱いされた」と、お客さんの声だけを励みにここまで続けてきました。
「この卵でないとダメ」「これを食べたらお腹の調子がよくなった」「この卵を使うとお菓子が多くできる」「卵を変えたらパンの発酵が安定した」「臭みがない温泉卵ができて感動した」、と多くの声が寄せられています。

ハリとコクのある康卵(こうらん)

「元気な鶏の生んだ新鮮な卵はハリがあります、生臭さもありません」と、いくつも卵を割って見せてくださいました。こんもりと盛り上がった黄身には弾力があり、お箸でつまむこともできます。
「生臭さもないので、卵かけごはんはもちろん、温泉卵や茶碗蒸しなど何に使っても美味しいです」と東さん。皿に割った生卵も、まるでお茶を飲むように全皿そのまま全て飲み干しました!東さんにならって、私も生卵を一つ恐る恐る飲みました。後に残る甘いコクが印象的で、卵らしい生臭さは感じませんでした。

東さんは「卵は、一つの生命が誕生できるほどバランスが良い食材」、「卵神話(卵はコレステロール値が高く動脈硬化などの原因になるので上限1日1個という説)は昔の誤ったデータ。卵を食べないのは人類の損失」と、卵の話になると言葉に力が入ります。実際に毎日卵を5〜6個は食べているという東さんのお肌のツヤとハリは、何よりも説得力がありました。
「卵はいろんな加工品にとってなくてはならないもの、これほどまでに必要とされている食材は他にありません」。たくさんの人の役に立てる仕事だと、やりがいを感じています。

腸内環境を整えて健康な鶏へ

東さんは、薬品に頼らず質の良い水と食事を大事にする飼育に何よりもこだわっています。ポイントはEM菌(EM:有用微生物群)を利用して鶏たちの腸内細菌を活発にすること。えさにはEM菌を混ぜて寝かせ、しっかり発酵させたものだけをあげています。そうすることでえさをたくさん食べて、しかも老廃物の排出もスムーズになるそうです。
飼育方法を変えてから卵の出来栄えも良くなり、鶏糞から発生するアンモニアガスが減少して鶏舎が臭わなくなったそうです。

「菌は悪い菌ばかりではない、もともとそこに住んでいる良い菌を増やすのも大事」と、鶏舎を薬品で消毒することもないそうです。実際に鶏糞の匂いを感じないほど清々しい空気の鶏舎でした。
また「卵の約8割は水です。水が大事です」と貯水槽も見せてもらいました。地下150mから汲み上げた地下水に、電子棒を入れてマイナスイオンをチャージしたミネラルウォーターです。鶏たちが取水口をつつくと、それがいつでも新鮮な状態で飲める仕組みになっています。

食べて体によいものだけを世の中に

「本当に、食べて体によいものを世の中に出すこと。それが農家の宿命です」と言い切る東さん。
「様々な病気の原因は、口から体にいれるものです」「本当の食べ物とは、食べて健康になるもの。それが自信を持って人に勧められるものです」と、食と健康について、語りつくせないほど強い想いを持っています。「山は消毒しなくても病気にならない。なぜ病気になるのか?何が原因なのか?を考えることが大事」と自然治癒力、免疫力をあげることの大切さを説きます。

「できるなら広い野原で生活させてあげたい」と小さく呟いた東さん。人間のための養鶏でも出来るだけのことはしてあげたい、と食べる人のことを最優先に思いながら、卵を産んでくれる鶏に感謝の気持ちを忘れることはありません。撮影中も鶏たちに「ありがとう、ありがとう」「いつもありがとうね」と、繰り返し声をかけている姿が印象的でした。
つい値段で買うモノを選びがちですが、知識をつけて、「自分の意思で自分の体のために食べ物を選択する」、その大切さを改めて実感しました。

  • ブログページ―おいしい野菜の見え方
  • 取材:大角恭代

    小林市在住。大学卒業後、㈱ファーストリテイリング勤務。2011年2月Uターン。野菜ソムリエ。たまたま食べた無農薬無化学肥料栽培の文旦に衝撃を受け、おいしい野菜の育ち方に興味をもつ。おいしいと思う野菜があると畑にいき、生産者と想いを語る。

    夢は『いつでもどこでもおいしい野菜が食べたい、広めたい』。

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