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田代 敏徳・理恵
(たしろ としのり・りえ)

マンゴーとパパイアの兼業農家。パパイアのニーズ拡大にあわせ栽培面積を拡大。現在県内でのパパイア出荷量最多。JA宮崎中央パパイア研究会会長(敏徳さん)

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【問い合わせ先】
JA宮崎中央 南宮崎営農センター

【電話番号】
0985-85-7888

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パパイアのおいしさに一同びっくり

毎日食べる人、毎月買いにくる人、贈る人。「味が良いし体にもいいから」と10年くらいずっと毎日食べているお客さんなど、田代農園のパパイアには熱心なファンがいます。
お茶と一緒に出してくださったパパイア。「皮はむかないでそのまま食べるという方もいるんですけどね、今日はむいてあります」。果肉の断面は柿のような橙色で、トロピカルフルーツらしい甘い濃厚な香りがほんのりと。口に入れると口の中でほどけながらジュワッと甘みが広がりました。「美味しい!」パパイアを食べた記憶はありますが、あれ実は初めてかな?と思うほどでした。

取材班も「え、パパイア美味しい!」と全員が驚き唸りました。
「パパイアを初めて食べたという人、まだまだいますよ」とフォローしてくださりながら、パパイアの魅力を語る理恵さん。定期的に買いにくるお客さんの一人は「サプリを取るよりもおいしいもので栄養を取りたい」とおっしゃるそうです。葉酸やビタミンCたっぷりと注目されるその栄養価の高さはもちろん、その味も魅力です。

料理にもお勧めのトロピカルフルーツ

色も香りも味も、他のどのフルーツとも異なるオンリーワンの果実パパイア。
そのまま食べても甘くておいしいのに、さらに「パパイアは他の食材の邪魔をしないので、料理にも色々使えます」と理恵さん。家族もみんなパパイアが大好きで、田代家では毎日パパイアを食べるそうです。
オリジナルのレシピ帳を見せてもらいました。自分で考えたり、お客さんから教えてもらった食べ方をアレンジしたり、幅広くパパイア料理を提案。ひと口大に切ったパパイアにはちみつを添える「ヨーグルトあえ」、縦半分に切ってくぼみにアイスをのせた「パパイアのバニラアイスのせ」、季節の野菜や日向夏と一緒に「パパイアサラダ」、など料理写真も撮って、パパイアレシピをまとめています。自宅まで買いに来るお客さんや発送するパパイアに同封しています。

今、理恵さんの特にお気に入りのレシピは「そば粉のクレープ巻きブーケサラダ」。自宅に自生するクレソンやレタスやキュウリなどのサラダ野菜をクレープ生地でパパイアと一緒に包みます。「スナックっぽくて見た目もかわいくて」「家にみえるお客さんにも人気で、お義父さんからもよくリクエストがあるんです」。
私も何か作ってみたくなり、早速パパイアを購入。パパイアサラダとパパイアの巻き寿司を作ってみました。時間はかかるけど、こうして地道な取り組みがファンを増やすことを実感しました。来客があるときにもいいかも、また買いに行こう。

「パパイアは完熟したものを」春と秋は特にお勧めの時期

パパイアは熱帯アメリカ原産。宮崎ではハウスの中で、一年中花を咲かせます。通年収穫できるパパイアですが、宮崎産は特に春と秋がお勧めです。
白い花のふっくら縦長に膨らんだ子房が、おいしいパパイアになります。パパイアは開花して約半年で収穫を迎えますが、「これはおいしい実になる」と予測される花が咲くのが春と秋。
夏はハウスの室温が40度以上にもなり、さすがの熱帯植物パパイアも疲れてしまいます。また冬は花の数が少なく小さいものが増えます。つまり半年後の収量が減るため、3月〜6月、9月〜12月頃がお勧めです。また気温が高い夏は日焼けがしやすく熟成も早く、まだ未熟な青い実のうちに収穫して、日持ちも短いそうです。

「パパイアは食べごろが大事なんです」と繰り返す理恵さん。表皮全体が黄色く色づき果肉全体がしっかり人参のような橙色になった頃が食べごろです。
特に秋に咲いた花は、冬の間ゆっくりと育つため生育期間が長く、その分大玉で味もおいしいとか。ちらほら黄色く色づき始めたパパイア。一年で一番美味しいパパイアは3月からがチャンスです!

家族で力をあわせて「樹を回す」パパイア栽培

ハウスに入るとその迫力に圧倒されます。一瞬、蛇に睨まれたカエルの心境になったような気がしました。パパイアの樹は生育旺盛で、一年で一メートル以上伸びます。そのまま植えると1〜2年でハウスの天井を突き破ってしまうため、斜めに寝かせて植え、樹を回して固定しながら成長することで10年以上も栽培が続けられるようになりました。
清武町では平成15年からパパイア栽培を開始。品種は、香りと甘さが爽やかな日本人好みの品種「サンライズ・ソロ」。清武が産地となり、宮崎は沖縄に続いて生産額全国2位。

田代農園は元々花専業農家でしたが当初からパパイアを導入、敏徳さんは会長として7軒の農家をまとめています。当初から試行錯誤し、昔は直立で植えてから樹を回したり、横に植えたりして、ようやく今の形に落ち着いたそうです。現在はマンゴーとの兼業ですが市場からの要望に応えてパパイアの生産拡大も検討中。
「町内の農家さんのパパイアの苗木は、父が全部育ててるんですよ。(幼木は)潅水や植え替えのタイミングが難しく、毎日こまめに世話ができる人でないとうまくいかないんですよ」。家族がそれぞれ得意なところを生かして清武のパパイア栽培をリードしています。

農薬を使わないパパイア栽培。大事な人にも安心のパパイア

「パパイアは無農薬で栽培しています」。やや薄着でハウスに入ったものの、しばらくするとじっとりと汗が滲んできました。害虫が好みそうな湿度のように感じましたが違うようです。
傷がつきやすい繊細なパパイアの害虫ハダニ。まだ珍しく贈答用として引き合いの強いパパイアは見た目の綺麗さも大事なポイント。そのハダニを、天敵カブリダニが住みやすい環境を整える事で抑えることに成功。「天敵栽培」という化学農薬を使わない栽培方法を全農家で採用しています。
「家族仲良く協力してやるからこそおいしいパパイアができる」、「売るというよりも食べ物を通して人と人のおつきあいができるのが嬉しい」、「食べ物を通して口福をお届けできているのが幸せ」と人と人のつながりを何よりも大事にしている田代農園。

栽培したパパイアは、JAを通して全国に出荷されていますが、知り合いや友人へ直送するときには忙しくても必ず一筆手書きの文を添えて発送していると、語る理恵さん。
大事な家族と安心して取り組める農業で、大事なお客さんに自信を持って届けられるパパイア。農家に嫁いだ理恵さんは、家族、お客さんと大事な人が増えていく中で幸せが増えていき、充実した気持ちで農業に向き合っていること、そんな話も伺いました。思いやりや人と接する姿勢、前向きな思考、胸に響きました。パパイアがさらに黄色く輝いてみえました。

  • ブログページ―おいしい野菜の見え方
  • 取材:大角恭代

    小林市在住。大学卒業後、㈱ファーストリテイリング勤務。2011年2月Uターン。野菜ソムリエ。たまたま食べた無農薬無化学肥料栽培の文旦に衝撃を受け、おいしい野菜の育ち方に興味をもつ。おいしいと思う野菜があると畑にいき、生産者と想いを語る。

    夢は『いつでもどこでもおいしい野菜が食べたい、広めたい』。

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